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薄(ススキ)

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薄はイネ科ススキ属の多年草である。
漢字では「芒」とも書き、これは中国での表記である。
「薄」のほうは和字(和製漢字)で、草が茂っている様子を表している。
薄の原産地は中国など東アジアとされ、朝鮮・中国・台湾・マレーシアなどに分布する。
日本でも全国的に分布していて馴染みの深い草で、秋の七草の一つでもある。十五夜の月見に飾る風習は全国で見られる。俳句の季語では秋であるが、「末黒の薄(すぐろのすすき)」=焼野の薄は春の季語、「青薄」は夏の季語、「枯薄」は冬の季語というように一年を通じて登場する。
ところで、薄には尾花(おばな)という呼び方もある。
これは花穂の形を動物の尾に見立てたもので、鶏や狐などの説があるという。
さらには、「茅(カヤ)」とも呼ばれ、茅葺き(かやぶき)屋根の材料として古くから重要な植物であった。
また、家畜の飼料や燃料にも使用され、生活に密着した植物であった。
なお、カヤに利用される植物は場所により違いがある。水辺が広がっている地方ではヨシを用い、奄美・沖縄地方ではチガヤが用いられてきた。
そして、薄は万葉集や源氏物語の中にも登場する。
万葉集にはすすき・をばな・かや・み草の名前で45首に登場しているそうである。
穂が出始めたばかりの尾花を「花すすき」「はだすすき」と詠んでいるという。「はだすすき」は「尾花」を導く枕詞としても用いられているようである。
写真は9月に箱根湿性花園で撮った。
学名:Miscanthus sinensis

★野の風にそっと靡(なび)くは君求め
 薄の揺れに思いを乗せて
by ryudesuyo | 2005-10-08 06:33 | イネ科
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